「 ノイジー・ベイビー 」 カヴァー騒動 顛末記 ~ 歌は誰のものなのか ?
キノコホテルが ( 先代ベーシストのエマニュエル小湊 時代から ) 実演会で繰り返し演奏し、『 マリアンヌの逆襲 』 ( ’13 年 ) にも収録されていた 「 ノイジー・ベイビー 」 に対して、オリジナルの歌唱者であるカルメン・マキがツイートしたクレームを発端に、カヴァーをめぐる議論がネット上の話題となった。
いずれも、コアなファンを多数抱えるだけに、お互いの擁護派が感情論を戦わせる展開となる一方、日本の音楽業界における表現の自由と著作権との関係を論じるに当たって、識者達へ格好の材料を提供した形となったのだ。
いわし亭はもちろん、マリアンヌ東雲のファンであるが、本稿での記述は出来るだけ公平を期するよう努めたいとは思う。ま、頻繁に脱線するかもしれないが… ( 苦笑 )
発端はカルメン・マキの以下のツイートである。
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カルメン・マキ @carmen__maki 6月7日 17:20
現場の下見に行ったライブハウスで、出演していた女子バンド(かなり有名らしいが名前は伏せます)が、帰り間際になっていきなり 「 ノイジーベイビー 」 を演奏したのには驚きでした。全然売れなかった、多分当時にしては奇異な作品を、よく知ってるなぁ、しかもカバーするとは!^^
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違和感を受ける方の方が多いと思う。このツイートから受けるカルメン・マキの印象は、明らかに嬉しそうではないか。また、演奏のレベルに関する不快感などもなさそうだ。なにしろニコニコマーク ^^ が入っているのだから。ところが、その後、カルメン・マキは 「 ノイジー・ベイビー 」 をキノコホテルのオリジナルだと勘違いしているファンが大勢いることを知って態度を硬化させていく。
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昭和元禄 アングラポップ @BlackXjs 6月7日 20:08
@carmen__maki 多分、あのバンドの事でしょうね…
この曲はCDで復刻されるだいぶ前から仲間うちで話題になってましたし、何度もDJで使わせていただいた事も…
hatefull felix @FelixHatefull 6月7日 22:51:35
@BlackXjs @carmen__maki そ、それはまさにキ、キノコホテルでは… と言いますかキノコホテルの曲だと思っていた私は 「 きのう酒場で見た女 」 が一番好きです( ´∀`)
カルメン・マキ @carmen__maki 6月8日 01:01
@bearschoice64 日本の音楽シーンというのは余程のメジャーで活躍を続けている人でない限り古い人を大事にしませんよね。私の曲をキノコホテルやパンタの曲だと思っている人もいてショックでした。( 麻生 *いわし注 ) レミさんも含め一音楽家の歴史を正しく伝えない
カルメン・マキ @carmen__maki 6月8日 01:08
@bearschoice64 これは他の事でもそうで日本人の国民性というのでしょうか、すぐに忘れる、新しいものにすぐに飛びつく。良い意味での 「 伝統 」 や 「 歴史 」 が受け継がれていかない。マスコミが元凶です。私だけでない、表現を生業にする者にとっても、はがゆい思いです。
カルメン・マキ @carmen__maki 6月8日 01:15
@FelixHatefull @BlackXjs ありがとうございます。ふつう音楽家同士、又は事務所経由でそういうやり取りがあるものですが、そういう話はきいてませんでした。
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キノコホテル 『 マリアンヌの逆襲 』
1.エレキでスイム
( 作曲:ブラボー小松 )
2.ノイジー・ベイビー
( 作詞・作曲:クニ河内 )
3.今夜はとってもいけない娘
( 作詞:山川啓介 作曲:いずみたく )
4.かえせ! 太陽を
( 作詞:坂野義光 作曲:眞鍋理一郎 )
5.すべて売り物
( 作詞: Phew 作曲:aunt sally )
6. 悪魔巣取金愚
( 作詞・作曲:髙橋 照幸 )
※ イギー & ザ・ストゥージズの不朽の名盤 『 淫力魔人 』 のジャケットにオマージュを捧げた12インチアナログ盤。このレコードは限定盤で、さすがに現在は入手困難
マリアンヌ東雲は、’13年5月の 『 マリアンヌの逆襲 』 のリリースに伴うインタビューの中で、件の 「 ノイジー・ベイビー 」 についてリスペクトを込め、かなり謙虚に、とは言え自身の自負も含めて紹介している。
1 JUNGLE ★ LIFE VOL.185 ( ’13 年 5 月 1 日 )
※ 全国に 15 万部 ( 集英社 『 MORE 』 、講談社 『 with 』、小学館 『 CanCam 』 が約40万部、光文社 『 JJ 』 が約 20 万部なので、15万部はそれほど少ない数字ではないと思われる ) を流通させている日本最大級のミュージックフリーマガジン
── 「ノイジー・ベイビー 」 は、カルメン・マキさんが CBS / ソニー時代に発表したシングルの中で最も売れなかったという…
当時は全然売れなかったみたいですけど、なかなか沁みる曲なんです。だからこの機会にみなさんに知ってもらいたいと思って収録したというのはあります。これは過去に何度もステージでやっていて、お客さんからも評判の良い曲です。たまに オリジナル? って訊かれるんですけど、私こんな曲書けない ( 笑 ) クニさん ( 作曲者のクニ河内 ) の才能をつくづく感じる曲です
── 本当は良い曲なのにあまり知られていない曲をカバーすることで、原曲の再評価にもつながる。
「 なぜみんなが知らない曲をカバーするんですか? 」 って訊かれるけど、その辺のカバー集と同じものを作ってもつまんないから。誰もが知っている曲の焼き直しみたいなカバーなんて誰にでもやれるし、みんなやっているでしょう。そういうカバーとは別のものとして捉えてほしい。カバーではありますが、限りなくオリジナルに近いところに位置していると思います。
── 知らない人が聴いたら、オリジナルと思いますよね。
そうなんじゃない? 今時の高校生や若い方が聴いたら、カバーかどうかすらわからないはずよ。原曲はもっと淡々としていてそれはそれで良いと思います。でも何となく違う料理法で食べてみたい… そんな感じに近いのではないでしょうか。きっと。
2 音楽ナタリーのインタビュー ( ’13 年 4 月 )
── 2曲目の 「 ノイジー・ベイビー 」 はカルメン・マキさんの1970年のシングルですね。キノコとしては王道のチョイスというか、強化したリズム隊で得意路線をさらに突き進めたような印象です。
そう。よりエモーショナルで凶暴になってる。ものすごくいい曲なので、この世界観をキノコなりに、もっと立体的にしたかったの。
── ある意味以前からカバーしていて不思議ではないこの曲で、今だからこその成果はありましたか?
私の歌唱法なども含めて、元がどの時代の音楽なんだかわからないような、以前だったらできなかったアグレッシブな解釈ができたと思う。『 マリアンヌの休日 』 の頃は、それなりに調理したとはいえ、まだ “ ああ、歌謡曲ね ” って言われるような範疇だったと思うの。でも今は選曲の目線そのものが違う。「 ノイジー・ベイビー 」 は年代だけ言うと昭和歌謡の範疇かもしれないけど、2013 年 に作られた曲だと言っても信じられそうなメロディとメッセージを持っている曲だから、ちゃんと今の音楽として通用するものにしたかったの。その違いは大きいわね。資料を見ると、マキさんの中では売れなかったほうだそうなんですよ、この曲。でも普遍的なメッセージを持ったいい曲なので、ぜひ知っていただきたいなという気持ちで選びました。
そして問題のツイートである。
ただ、ネット上で喧しく繰り広げられているツイート合戦を見ると、この問題のスタート時点における一番重要な点が抑えられていないものがあまりに多い。それはカルメン・マキの以下のツィートを前提にしているということで、ここがきちんと押させられていないと、議論は相当違った方向に行ってしまう。つまり、キノコホテル側は事前に了解を得ていたのか ? どうか ? 得ていたのであれば、それは何時なのか ? 以下は 6 月 8 日の明け方、午前 1 時頃から 4 時頃まで行われたツイッターによる会話である。
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カルメン・マキ @carmen__maki 6月8日 01:45
音楽家が他人の曲をカバーする時には普通、相手の了解を得るものです。外国曲や面識のない相手なら所属事務所や組織、個人マネージャー、親しい者同士でも相手の承諾を得るのがルールです。
人によってはカバーされるのを嫌がる場合もある。例えば私はもう一人のマキさんの歌を数曲カバーしてますがあの方はそのタイプで幸いにもデビュー当時からの知り合いで時々お宅に遊びに行ったりして可愛がってもらっていたので 「 マキならいいわよ 」 と許してもらったのです
SAMMY MAEDA @voltagerecord
@carmen__maki いきなり失礼します。キノコホテル 「 ノイジー ベイビー 」 の制作をした前田と申します。以前ラ・ママにて巻上さんの紹介でキノコの MS と共にご挨拶させていただきました。その際、今度カバーさせていただきます… とお話したのを覚えていらっしゃいますでしょうか?
→ この時か? ’13 年 4 月 12 日 ( 金 ) 道玄坂異種格闘技戦 vol.49 にヒカシュー登場
渋谷でこんな戦いがはじろうとしている。ヒカシュー とおとぎ話と KUDANZ そしておおたえみり
@ 渋谷ラママ OPEN / START 18:30 / 19:00 ADV / DOOR ¥2500 + D / ¥3000 + D
SAMMY MAEDA @voltagerecord
@carmen__maki その時のマキさんの反応はちょっと驚かれたような感じだと記憶しています。作家のクニ河内さんには個人的に親しくさせていただいているので、もちろん事前に許諾もいただいております。
カルメン・マキ @carmen__maki
@voltagerecord 思い出しました。ライブの現場で初めてお会いして、いきなり「カバーさせていただきます」と言われて困惑したのを。そういう事は今までなかったので。つまり事前にも、その後も、正式なお話は受けていません。それに 「 させていただきます 」 というのは事後承諾ですか?
カルメン・マキ @carmen__maki
@voltagerecord また、某ライブハウスで偶然観たバンドがキノコホテルで、そこに MS さんがいるというのも知りませんでした ( ヒカシューのライブ時に聞いたかもしれませんが状況的によく覚えていません ) 制作担当ということですが、あれは音源化されているのでしょうか?
SAMMY MAEDA @voltagerecord 6月8日
@carmen__maki 2013 年にヤマハミュージックコミュニケーションからリリースされたミニアルバムに収録されております。音楽出版社への許諾はヤマハの担当が行いました。
カルメン・マキ @carmen__maki 6月8日
@voltagerecord 今、たまたまフォロワーさんからのリプで音源化されているのを初めて知りました。つまりこちらには何の連絡もなく音源自体も送られてきていないということです。OZの曲など含め私の作品をカバーされているアーティストはかなりいますがこのような事は初めてです。
SAMMY MAEDA @voltagerecord 6月8日 04:08
@carmen__maki 音楽出版社、著作権者の許諾をいただき、オリジナル歌唱者の方にもきちんと見本盤などを差上げていないのでは、CD を発売した会社および事務所側のミスであり、明らかに失礼があったと思います。SNS ではなく、別のルートで改めて連絡させていただきます。
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カルメン・マキ @carmen__maki 6月11日 15:00
頓珍漢なリプも含め誤解されている方が多いようなので最後に… 元はといえば 「 手続き上 」 の問題ですよ。プロらしからぬ対応の杜撰さ。ミスは相手の担当者も認めていますしね。普通にこの業界上のルールを守っていれば何も起こらず双方のファンにも余計な心配・迷惑をかけることもなかったのです
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カルメン・マキが当初問題にしている、“ 相手の了解を得る ” というルールを制作担当のサミー前田 ( ボルテイジレコード 音楽プロデューサー ) と MS ( つまりマリアンヌ東雲 ) は、一応は守っているのである。この時のマリアンヌ東雲が、伝説の大物歌手を前にして、結構、しおらしくしていたんだろうなぁ と想像するのは何となく楽しい。さらに、“ 何の連絡もなく音源自体も送られてきていない ” というカルメン・マキの指摘に対してサミー前田は、謝罪を行い、速やかに対応をとる ということを述べている。これはなかなかな大人の対応だと思うのだが…
ただ、カルメン・マキにとって、“ 相手の了解を得る ” 手続きが、彼女の期待するレベルに達していなかったため、その事実はなかったことになっている。6 月 7 日の一番最初のツイートを見る限り、カルメン・マキは渋谷ラ・ママでサミー前田とマリアンヌ東雲に会ったことを明らかに忘れているのだ。おそらく、マリアンヌ東雲はカルメン・マキとは素顔で会ったのではあるまいか ( 笑 ) とすれば、ステージを見ても、挨拶を交わしたのと同一人物であることに思い当たらなかったことは十分ありうる。だからこそ、サミー前田との会話の中で “ 思い出しました ” と綴っているのである。ま、2年以上も前の出来事だし、リリース後、音源の提供がなかったのだから、当然と言えば、当然か。
さらに、カヴァーに関してカルメン・マキが期待する手続きのレベルも明記されている。“ つまり事前にも、その後も、正式なお話は受けていません。それに 「 させていただきます 」 というのは事後承諾ですか? ” ということである。カルメン・マキの言い分に拠れば、“ 相手の了解を得る ” には、1 事前のご挨拶 ~ ご相談ごとの提示 2 正式なお話 ~ 承諾を得る 3 作成した音源の提供 と最低でも 3 回の手続きが必要ということになる。
また、それ以外にも浅川マキのカヴァーをする際のエピソードとして “ デビュー当時からの知り合いで時々お宅に遊びに行ったりして可愛がってもらっていた ” ということを明かしている。“ カバーされるのを嫌がる場合 ” は、親交を深めて、カヴァーする相手に認めてもらうということも、時には必要であると説いているのだ。
この最初の時点でのボタンの掛け違いが修復することは結局、なく、感情論のレベルも含んで未だにツイッター上ではくすぶり続けているが、本来ならば、’15 年 6 月 11 日 15:00 のカルメン・マキのツイートこそが答えであり、ここで決着を見て然るべきなのだ。
ただ、この時系列の検証をしていて一つ引っ掛かったのは、この 「 ノイジー・ベイビー 」 が先代ベーシスト エマニュエル小湊が在籍したころから演奏されており、キノコホテルのレパートリーとしてはけっこう古い部類に入る ということである。これは想像のレベルでしかないが、「 ノイジー・ベイビー 」 を実演会でのレパートリーにするにあたって、キノコホテル側からカルメン・マキ側への事前の打診はなかったように思える。ここで、サミー前田がツイートしているのは、おそらく 『 マリアンヌの逆襲 』 の制作直前に交わされた挨拶に関するものだ。「 ノイジー・ベイビー 」 はそれ以前から実演会で演奏されてきた経緯があり、とすれば、カルメン・マキの “ それに 「 させていただきます 」 というのは事後承諾ですか? ” という指摘は、正にその通りと言うことになる。
まず、驚かされるのは、’51 年 5 月 18 日生まれ、御年 64 歳のカルメン・マキがツイッターを駆使して、反論する様々な相手に対し、非常に饒舌に語っていることだ。そこには、彼女がこれまで感じて来た音楽業界、同業者やファンに対する憤りのようなものも散見され、単にカヴァー問題だけにとどまらない根の深さを呈している観があった。ここで全てをフォローするのはとても無理なので、ネットをググって確認してみて欲しい。しかも、約一カ月後の 7 月 1 日時点、そろそろ沈静化したかな? と思って、ツイートを追いかけてみたら、未だに論争が続いていた。
一方、マリアンヌ東雲の発言は逆に驚くほど少ない。ツイッターにつきものの煽りやエアリプライにもいっさい付き合わず、言いたいことだけをツイートしてさっさと舞台を降りてしまった。マリアンヌ東雲はもともと、熱心なツイッター利用者ではなかったが、それにしてもこの件に関するツィートは以下、実に 6 件だけである。しかも、そのうち 4 件は 6 月 11 日に一気に行われている。
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マリアンヌ東雲 @marianne_sama 6月10日 03:20
キノコホテルがここ数年カヴァーさせて頂いて居た某楽曲ですが、音源化する際に著作者の方はご快諾下さり、寧ろ若い世代が演ってくれるとは、と感謝のお言葉を頂きました。しかし歌い手の方が何やら今更騒いでらっしゃる模様なので、もう二度と演らないと決めました。面倒臭いから。
マリアンヌ東雲 @marianne_sama 6月11日 00:15
頑固だったり偏屈だったりする様がクールに映るのは、正直若い時だけだと思う。移ろう時代の中でワタクシはしなやかに可愛らしく歳を重ねて行きたい。
マリアンヌ東雲 @marianne_sama 6月11日 06:03
何処のプロダクションにも所属せず、ごく少数のスタッフと無い知恵絞りながら凡ゆる事を自分で決めねばならない。正直音楽より頭を使うし難しい。周りは何も知らずに好き勝手言う。ヤサグレれたい時もあるわ。性格なんか悪くて結構。キノコホテルは、ぬくぬくと守られて居るようなバンドとは訳が違う。
マリアンヌ東雲 @marianne_sama 6月11日 06:03
ま、そろそろ曲を書けと云うお告げでしょうね。
マリアンヌ東雲 @marianne_sama 6月11日 06:13
次作をリリースする際には、吉田豪氏のインタビューを受けてみたいわ。インタビュー嫌いだけどね。
→ ’15 / 6 / 23 『 モーニング CROSS 』 : TOKYO MX 放送のニュース番組
吉田豪 : で、僕ちなみにその騒動を最初から見ていて、Twitter でずっとリツイートしてたんですよ。両方の言い分を。その結果、気がついたら 『 なにやら吉田某という人が裏で本件を扇動しているようですね 』 とカルメン・マキさんが突然言い出して。
堀潤 : あ、マキさんが、吉田さんがこう、黒幕なんだと。
吉田豪 : 両方をただリツイートしてただけで、僕一切コメントしてなかったんですけど。『 昔はこういう人のことを芸能ゴロと言いました 』 と ( 笑 ) 芸能ゴロ認定が入ったという ( 笑 )
マリアンヌ東雲 @marianne_sama 6月14日 00:55
野次馬ども、ワタクシはもう何も言うつもりないわ。貴方がたがこの週末にモヤモヤしながら何か考えてくれたのならばそれで充分。
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カルメン・マキ @carmen__maki 6月10日 17:13~
某ミュージシャンが私の歌った某曲をカバーし音源化もされていた件について。ミュージシャンには常識知らずの自己陶酔型が多いのでいたしかたないとしても問題はスタッフの対応でしょう。
45年間の私の音楽生活の中で OZ ひとつ取ってみても、寺田恵子、ビーズ、中森明菜、デーモン小暮、世良公則 ( 敬省略 ) と多くのアーティストにカバーされていますが、必ず事前に承諾を求められ商品化された物は送られてくるのが常識というもので今回のようにライブ当日にいきなり事後承諾、その後も何の連絡もなく音源化されたものも送られてこないというのは前代未聞です。
その御本人のコメントの最後に 「 面倒くさいのでもうあの曲はやらない 」 とあるのでも解るように、つまり、仮に相手が私ではなかったとしても、先人に対するリスペクトや楽曲の良さ、は重要ではなかったのだと解釈されます。彼女の45年後が観たいです。頑張って下さい
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サミー前田とともに挨拶に行ったことで、いわゆる業界のルールについてはクリアしているとの認識がマリアンヌ東雲にはあり、“ 音源化する際に著作者の方はご快諾下さり、寧ろ若い世代が演ってくれるとは、と感謝のお言葉を頂きました。しかし歌い手の方が何やら今更騒いでらっしゃる模様 ” というやや逆ギレ気味の礼儀を欠いた発言になっている。
著作者の方とはもちろん、クニ河内であり、前出の 『 マリアンヌの逆襲 』 リリースの際のインタヴューを見ても、マリアンヌ東雲の説明はクニ河内に比重が置かれている。あくまでも、「 ノイジー・ベイビー 」 という曲ありき ということが分かる。しかし、実はこの問題によって最も不利益を被っているのは、本来権利を主張すべき作詞・作曲者のクニ河内であり、彼はキノコホテルが演奏する毎に発生したはずの印税を受け取れなくなってしまった。これは結構、由々しき問題だと思うのだが、意外に指摘が少ない。
ヒット曲かどうかにかかわらず、JASRAC ( 日本音楽著作権協会 )に支払う使用料は機械的に算出されるから、カヴァーなんて本来、誰でも知っているヒット曲を中心にする方が断然、効率がいい。では、なぜカルメン・マキが CBS / ソニー時代に発表したシングルの中で最も売れなかったといういわくつきの曲を選ぶのか? と言えば、前出の JUNGLE ★ LIFE のインタヴューにもある様に、楽曲に対するリスペクトと実演家としての矜持があるから としか答えようがない。むしろ、その意味で、マリアンヌ東雲には歌唱者のカルメン・マキに対してそれほどの思い入れはなかった というのは案外、本音の部分だったのかもしれない。
従ってカルメン・マキの友人 津原泰水 ( 執筆家 音楽や楽器への造詣が深い ) の “ マキさん依存の話題づくりでは…? ” というツイートは完全に的外れである。もし、カルメン・マキの名前に便乗するつもりであれば、当然ヒット曲の 「 私は風 」 をカヴァーするべきなのだ。
例えば、J-POP の名カヴァーで第 55 回 日本レコード大賞 「 企画賞 」 ならびに第 28 回 日本ゴールドディスク大賞 “ ニュー アーティスト オブ ザ イヤー ” を受賞したクリス・ハート。彼はカヴァー曲を中心に構成された 『 Heart Song 』 と題するアルバムをすでに 3 枚も上梓しているが、彼が今回のような煩わしい問題に巻き込まれたと聞いたことはついぞない。JASRAC の規程に従って、極めてビジネスライクに、コトを進めているのだろうと思う。JASRAC の様な第三者が楽曲の管理に携わっているのは、ビジネスの客観性を担保するためである。こうした手続きの普及があって初めて、音楽もまたきちんとしたお仕事として認知される様になっていくのであり、ここが健全に処理されないのであれば、JASRAC の存在意義など無きに等しい。“ 仁義 ” とか “ 筋を通す ” といった主観的な事柄が要件になっている前近代的な状況を払しょくするためにも、JASRAC の仕組みが考えられたのだ。それが気に入らないのであれば、そもそも楽曲を信託しなければよいのである。
いずれにしても、“ 面倒臭いから ” というツイートで一連の騒動に落とし前を付けたマリアンヌ東雲は、以降、いかなる罵詈雑言も柳に風と受け流すつもりのようで、この潔さは逆に天晴れだろう。
乱暴にまとめてしまえば、カルメン・マキが歌っていたことすら知られていないシングル盤 「 ノイジー・ベイビー 」 を自分が好きだ という理由だけで、奇特にも発掘し、カヴァーしてみせたにもかかわらず、器の小さい大物歌手に恩をあだで返すような言いがかりをつけられて、相当、うんざりしていたのだろう。マリアンヌ東雲本人に関しては基本、この対応でノー問題である。大物先輩ミュージシャンに対して、この態度はいかにもパンクであり、彼女は自身のキャラクター的にもブレていない。これはまるで、ジョニー・ロットンがピート・タウンゼントに 「 Who Are You? 」 と尋ねた という痛快なエピソードを思い出させる。
実演会で頻繁に演奏しているレパートリーを封印するというのはミュージシャンにとって断腸の思いであるのは当然で、それをマリアンヌ東雲らしい啖呵とともに、エイヤッ!! でやってしまったのは彼女の性格上、やむを得ない感じがする。マリアンヌ東雲の決意表明からは、“ あとはあなたたちで好きにやって頂戴。この件については、どのような意見も甘んじて受けます ” というような覚悟さえ感じられ、実際、その後のツイートはわずか 5 件にとどまり、事実上の終結宣言がなされている。このあたりの機微は、ファンである胞子たちが察する ということで良いのではないか。
敢えて言えば、音源化する前から実演会で 「 ノイジー・ベイビー 」 を演奏してきた経緯があり、カヴァー当初に挨拶が出来ていなかったことについては、マリアンヌ東雲の中にも葛藤があるのではないか とも思う。
法律の要件を持ち出してきたツイートもあったが、その点では正にカルメン・マキの出番はない。売上に応じて法定の使用料を支払うだけで事足り、そもそもご挨拶云々など、全く必要ないのだ。ご挨拶というのは、斯界でご飯を食べていくに当たって、仕事をやりやすくするための手続きにすぎない。そして、「 ノイジー・ベイビー 」 という楽曲に関して言えば、カルメン・マキは作詞・作曲者 ( 著作権者 ) ですらない。
ツイートの流れから雰囲気だけで “ 著作隣接権 ” “ 同一性保持権 ” といった難解な単語が登場し、知ったかぶりの誤った論争が展開されるに至って、弁護士ドットコムのサイトも見過ごすわけにはいかなくなったようだ。
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歌い手は、著作権法では楽曲の伝達者 ( 実演家 ) で、自分の歌声に対する権利 ( 著作隣接権 ) はありますが、楽曲に対する権利はありません。ですから、原曲の歌声を使わないカバーには、歌い手の許可は必要ありません
ただ、作品の中には、ある歌い手のために作曲された楽曲、あるダンサーのために作られたダンスなど、その実演家がいなければ存在しなかった作品や、創作過程に実演家が深く関わっている作品もあります
カバーに際しては、法的な権利はなくても、一言挨拶をするなど、原曲の歌い手に対する何らかの敬意の表明はあったほうがよいと思います。カバー曲を歌うほうも同じ実演家なのですから
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生方ノリタカ @ubieman 6月12日 20:44
これはマキさんの感覚が普通。作曲家が特定の歌手のために曲を書くということの意味を、最近の音楽業界人は知らないらしい。その歌手のために書かなければ存在しなかった楽曲は無数にある。その歌手の存在がその曲を書かせたと言ってもいい。
→演奏家
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そして、ここで述べられている “ 一言挨拶をする ” は、カルメン・マキの提示する要件は満たしていないものの、キノコホテル側からは一応、なされている。
同一性保持権に関する騒動としては、’07 年、作詞家・川内康範 ( 耳毛の衝撃的ヴィジュアルがお茶の間を恐怖のどん底に叩き込んだ ) と歌手・森進一が争った “ 「 おふくろさん 」 騒動 ” が記憶に新しい。また、今年 ’15 年 年頭には、作詞家・沢ちひろと歌手・沢田知可子が大ヒット曲 「 会いたい 」 を巡って著作者人格権を争っており、沢ちひろは大阪地方裁判所に提訴している。いずれも、歌手側が作詞家に無断で、歌詞を勝手に改変したことが大きな争点となっている。
森進一は “ あの歌は < 森進一のおふくろさん > ” と余裕のコメントをしていたが、JASRAC の決定により改変した 「 おふくろさん 」 を歌えなくなった。また、沢ちひろが提訴に踏み切るほど心証を害したのは、バラエティ番組で沢田知可子が、ヒット曲が出ても、歌手には印税が全く入らないことを 「 会いたい 」 の替え歌で嘆いたためである。内容の是非はともかく、あれだけの大ヒット曲を歌唱したにもかかわらず、その恩恵に一切預かれない歌手の立場の弱さは、正に涙を誘う。
いずれも、実演家 ( 歌っただけのヒト ) の権利は法律的にも、金銭的にもほとんど補償されていない ということを物語っており、なんらかの法的な補填について考えさせられる。
※ 沢田知可子の 「 会いたい 」 提訴取り下げ! 作詞家・沢ちひろ “ 体もたない ” 2015 年 7 月 13 日
歌手の沢田知可子のヒット曲 「 会いたい 」 を改編されたとして、損害賠償を求めていた作詞家の沢ちひろが提訴を取り下げた。沢は沢田が 「 会いたい 」 のパロディ曲をテレビで歌ったことや、アルバムに収録されたバージョンで歌詞がはじまる前に英語の歌詞が付け加えられたことで、精神的な苦痛を受けたとしていた。「 会いたい 」 を沢田に歌ってほしくないと話していた。
沢は ’15 年 7 月 10 日、テレビ朝日系列 『 モーニングバード! 』 で提訴取り下げの事情を語った。救急車で運ばれて緊急入院し、意識不明で集中治療室に 1 週間ほど入っていたという。ストレスによる低カリウム血症と診断を受け、医師からはこれ以上裁判を続けるとストレスで体が持たないと言われたという。
また、入院生活を送るうち、“ 曲を守るつもりが、傷つけていたことに気付いた ” ということで、現在は “ 毒素が抜けた気持ち ” という。沢田に対しては、“ 金銭も謝罪もいらない ” “ ファンの方のために、できるだけ長い間歌ってください ” などと話している。
さっさと舞台を降りてしまったマリアンヌ東雲やサミー前田に代わって、高橋健太郎、吉田豪、等業界の識者やご意見番、七尾旅人、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、大森靖子、八木啓代、等歌手や実演家といった同業者、カルメン・マキの友人である津原泰水、桜井李早、等、さらに当然のことながら双方のファン、果ては単なる野次馬も含め、物凄い数のツイートがなされた。そして、それらに対して、けっこうなレベルでカルメン・マキが応戦していること自体は、むしろ称賛に値することだと思ったりもする。
それにしても、七尾旅人のツイートはさすがだ。カルメン・マキの心情を見事に汲み取っている。
七尾旅人 『 リトルメロディ 』
1. きみのそばへ
2. 圏内の歌
3. my plant
4. Everything is gone
5. サーカスナイト
6. 湘南が遠くなっていく
7. きみがなおるひ ほほえみのひ
8. 劣悪、俗悪、醜悪、最悪
9. busy men
10. NO HOME
11. 七夕の人
12. 銀河を渡る子供たち
13. アブラカダブラ
14. Chance☆ლ(╹◡╹ლ)
15. Memory Lane 試聴する
16. リトルメロディ
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七尾旅人 @tavito_net 6月14日 6:36
先人の努力によってカジュアルにカバーできる法整備がなされていることは確かに良いことではあるが いつしか 歌や人間をめぐる言葉がどこか軽く 貧しくなっている おそらくカルメンマキさんはそう感じて違和を表明したのだろうと思った
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高橋健太郎 ( 文筆家 / 音楽制作者 OTOTOY プロデューサー ) は、このカルメン・マキの “ 相手の了解を得る ” というルールに対して違和感を述べ、ここから別の論争が始まる。カルメン・マキが個人的に不快に感じたキノコホテル側の態度を業界のルールに違反している と主張したことに対して、そのようなルールはない というのが高橋健太郎の立場だ。
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kentarotakahashi @kentarotakahash 6月12日 20:14~
@carmen__maki 例えば、ある日のライヴで、突然、誰かのカヴァーを歌いたくなって、歌うことがマキさんにはありませんか? そこで思いのままにカヴァー曲を歌っても、誰かの権利を害することなく、咎められることもないように、JASRAC のシステムは作られていたりします。
しかし、そこには他のしきたりがあって、著作権的な問題はなくても、歌えない、あるいは面倒くさいから歌わない。そういうことになったら、音楽の世界はどんどん窮屈なものになっていきます。私はそういう窮屈さを招くことをなるべく減らしたい、と考えています。
マキさんが先方の非礼に不快を表明したことも、キノコさん側がそれを面倒臭いとして、カヴァー演奏をやめたことも、個別の案件としては、ままあることで、私が立ち入ることでもありません。が、そこにおけるマキさんの主張の正しさを「業界のルール」と主張されるのは困る。
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しかし、読むだけで気分が悪くなるくらい嫌な言葉が使われているツイートも沢山あった。カルメン・マキにしろマリアンヌ東雲にしろ、このようなバックアップは決して望んでいないだろう。いわし亭の見た中では、カルメン・マキの友人という桜井李早、津原泰水の二人が特に気になったが、単に野次馬的に参戦してくるツイートには、ここにさらに無責任が加わる。ただし、彼らは業界人でも、当事者でもないので基本、無視する。興味のある方は、今現在もはや無数に存在するまとめサイトを参照されたい。
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桜井李早 Risa Sakurai @RisaPeace 6月11日 22:42
その汚い音楽を生産している彼女、こんなこと言ってるようなんだけさ、“ しなやかに可愛く年を重ねていきたい ”… バンドの名前が名前だから、黴、はえちゃうんじゃない? 何しろ走ってるし汚い音楽だから。ノイズって問題ではない、感性がヤサグレている印象があるがね、私には。
→作曲・作詞、歌い手、文筆活動。国立音楽大学卒業。夫はギタリスト / 音楽プロデューサーの桜井芳樹
野間易通 @kdxn 6月13日 12:40
きちんと権利クリアしてるものに挨拶がなかったとかいっていちゃもんつけるの、ただの老害でしょ。
→元 『 ミュージック・マガジン 』 副編集長
ED影山@おしゃれライフ @blacktuna 6月13日 15:35
JASRACにカネさえ払えばざっくり基本コピー・カバー・公衆送信自由 っていうルールがネット普及以降一般人にも周知され機能し始める反面 芸能界 ( ? ) の古き良き体育会的伝統をも潰してしまったという… やっぱ老害と言われても仕方ないな 私の歌なら信託せず自分で管理すれば
津原泰水 @tsuharayasumi 6月17日 18:19
坂本九とそのご遺族に 「 上を向いて歩こう 」 の権利は無いとでも ? いちおう視聴しての感想ですが、キノコホテルさんがああも下手糞じゃなかったら、特に問題は起きなかったのでは。そしてキノコホテルさんは、なんでまたマキさんの曲をカバーしたの ? マキさん依存の話題づくりでは…?
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津原泰水のスキルに関するツイートは実に不毛である。未だに、こうした発言をする人がいること自体、驚かされる。上手、下手やアレンジの優劣は、結局はリスナーの好みでしかない。楽器を扱う技術において最も長じているのは、客観的に見れば、クラシック コンクール優勝者で、彼らに比すればポピュラー音楽の実演家など大同小異、取るに足らない存在だろう。上には上がいる ということではあるが、そもそもそんなことは音楽の本質とは何の関係もない。楽譜を正確に再現することだけが価値であるような実演の場合は当然除かれるが、楽譜のない音楽なんていくらでもある。
音楽における技術とは、表現欲求に対して必要にして十分かどうか という点が問題になるだけである。演奏の巧拙を絶対値で比較すれば、例えば、ザ ビートルズやセックスピストルズよりキングクリムゾンの方が上手い ということになるが、これらのバンドをロック史において検証する場合、そんなことは正にどうでもいいのだ。
ロバート・フィリップ師父は ’80年にキングクリムゾンを再結成するに当たり、セカンドギタリストとして、音楽的教養の全くない ( なにしろ、この御方のダンエレクトロのギター、チューニングされていないんよ ) アート・リンゼイに声をかけている。残念ながら断わられてしまったが、さすがはフィリップ先生、目の付け所が違う。
『 NO NEW YORK 』
1. Dish It Out
2. Flip Your Face
3. Jaded
4. I Can't Stand Myself
5. Burning Rubber
6. The Closet
7. Red Alert
8. I Woke Up Dreaming
9. Helen Fordsdale
10. Hairwaves
11. Tunnel
12. Puerto Rican Ghost
13. Egomaniac's Kiss
14. Lionel
15. Not Moving
16. Size
ブライアン・イーノがプロデュースし、当時のニューヨーク アンダーグランドの胎動を見事にパッケージした 『 ノー ニューヨーク 』 ( ’78 ) の中で聴けるアート・リンゼイとモリイクエのコラボレーションなど、技術至上主義のリスナーからすればただの資源の無駄遣いでしかないだろう。しかし、このアルバムが提示した方向性が、その後のオルタナティヴ シーンに与えた影響は計り知れない。 ’81 年、ザ ラウンジ リザーズのファーストアルバムにも参加したアート・リンゼイは、ここでもとんでもない演奏を聞かせ、当時のジャズ ファンの度肝を抜いた。
翻ってキノコホテル。’12 年暮れ、エマニュエル小湊が退社し、新たに入社したジュリエッタ霧島のベースは、従来のキノコホテルの楽曲に対してスキルが過剰すぎ、当初、違和感すらあった。当時、上手ければいいというものでもない ということを痛感させられたものである。マリアンヌ東雲はこの霧島のスキルを十二分に生かすため、バンド全体のスキルの底上げを画策し、結果としてキノコホテルのリニューアルに成功したのであった。「 ノイジー・ベイビー 」 はこの新生キノコホテルが万全を期してカヴァーした楽曲ということになる。
なお、いわし亭の 「 ノイジー・ベイビー 」 についての感想であるが、最初に聞いた時から、これはキノコホテルらしくない曲だなぁ という違和感があった。従って敢えて言えば、この曲への思い入れはそれほどないし、今後の実演会で聴けなくなってもさほど残念には思わない。
そして、つまるところ “ 歌は誰のものなのか? ”
これは単にカヴァーする・されるといったレベルではなく、実は歌の封印や放送局等での放送要注意判断 ( 自粛 ) 等、表現の自由に深く関わってくる問題なのだ。実際、キノコホテルによる 「 ノイジー・ベイビー 」 は封印されたことになるわけだし。
封印歌謡曲に関しては、三才ブックスから発行された石橋春海著 『 よみがえる封印歌謡 いったい歌は誰のものなのか 』 に詳しい。同書にカヴァーに関する封印で有名なエピソードが取り上げられている。
主人公は東芝音楽工業 ( 現 EMI ミュージックジャパン ) のディレクター時代、ザ ビートルズの来日記念 日本独自編集ベスト盤、フォーク クルセダーズの 「 イムジン河 」 、そして黛ジュンの 「 真赤な太陽 」 のカヴァーと、実に三度も封印の奇禍に見舞われた高嶋弘之。女優で妻の寿美花代と 『 ごちそうさま 』 での夫婦共演が有名な俳優 高島忠夫の実弟である。
ザ ビートルズのブームを作った高嶋がヒットメーカーとしての腕を買われ、会社辞令で次に取り組んだのは、斬新な和製ポップスの制作であった。ビートルズの来日以降、グループ サウンズ ( GS ) はドル箱となっており、この GS をも含んだ和製ポップス ジャンルの開拓は各レコード会社にとって急務だったのだ。
高嶋の言に拠れば、この状況にはレコード業界において慣習となっていた作家専属制を崩したという点で大きな意味があった。当時、作詞家・作曲家はレコード会社との間で専属契約を結んでいたため、他の会社とは仕事が出来ないという事情があり、楽曲のカヴァーについても、2 年間は他社の録音はできなかった。
ところが、和製ポップスに関しては、洋楽ディレクターがフリーの作詞家・作曲家と組んで作ったものがほとんどで、制作費も外部の会社や個人が出しており、ディレクターは何の制約も受けず、全く自由な立場で録音することが出来たのである。
作詞家・作曲家が特定の歌手のために曲を書いていたのは、会社としてそういう慣習が先にあったからで、別にお互いがお互いを認め合って意気投合 といった美談が必ずあるワケではない。そして、そういうケースというのはむしろ和製ポップスの制作スタイルが一般化した ’80 年代以降の方が多いと思う。
’68 年、高嶋はシングル盤 「 恋のハレルヤ 」 を 48 万枚、「 霧のかなたに 」 を 60 万枚ヒットさせ大人気だった黛ジュンで、4 曲入りコンパクトディスク ( 33 rpm 17 センチシングルをかつてそう呼んだ。いまじゃ、コンパクトディスクと言えば、CD のことですな ) を企画、カップリング曲として美空ひばりの 「 真赤な太陽 」 のカヴァーを提案する。
作曲者の原信夫がフリーであったことから、日本コロムビア側との交渉もスムーズに進み、法律的な問題もビジネスライクにクリアされていたが、カヴァー情報をつかんだひばり親子サイドから日本コロムビアに、“ 東芝から 「 真っ赤な太陽 」 が出たら、ひばりはコロムビアをやめる ” との勧告が入ったのである。
このコンパクトディスクにはすでに 20 万枚の予約が入っており、プレスも進んでいたため、当時 500 万円 ( 時価 4000 万円 ) の示談金 ??? が、日本コロムビアから東芝に支払われたという。この黛ヴァージョンの 「 真赤な太陽 」 が晴れてシングル盤で発売されたのは、実に 26 年後、ひばりの死後 5 年が過ぎた ’94 年のことである。
楽曲を他社に貸さないように出来る制度はすでにない。現在は強制許諾であり、JASRAC に登録されている曲であれば誰でも録音可能だ。録音前に許諾を取る必要もなく、録音後に JASRAC に届け出ればよいのである。
高嶋は言う。“ アメリカではカヴァーというのは名誉なことなんです。僕は洋楽をやっていたから、そういうのがよく分かる。僕は当時の会長のところに行きましたよ。でも謝りに行ったんじゃない。僕のやったことは決して誤りではない。10 年後には当たり前になっている。今はまだ、みんなが理解できないから、他人の作品を盗ったみたいに言われてるけど、これは当たり前のことなんです と、きちんと説明した ”
そもそも日本のポップスは、’59 年 ( 昭和 34 年 ) から 10 年間続いたフジテレビの大ヒット番組 『 ザ・ヒットパレード 』 に代表されるような、洋楽ヒットに日本語の訳詞をつけて歌ういわゆるカヴァーからスタートしている。
この訳詞に関しては翻訳家が活躍するわけだが、漣健児、岩谷時子、安井かずみ、等々若手翻訳家たちの手による見事な換骨奪胎 ( ※ ) が洋楽ポップスの魅力をダイレクトに伝え、洋楽は急速に受け入れられていく。実際、当時のライヴ アルバムなどを聞くと、多くの歌手がそのレパートリーを補う意味で洋楽カヴァーを歌っている。例えば、実況録音盤で聴けるザ ピーナッツの 「 エピタフ 」 ( キング クリムゾン ) や黛ジュンの 「 ヘイ ジュード 」 ( ザ・ビートルズ ) 等々は訳詞ではないけれども、なかなかの完成度なのだ。
その後、若手翻訳家たちは身に付けた訳詞テクニックと洋楽センスをベースにオリジナル曲の作詞家として台頭していくわけだが、実際、この洋楽カヴァーの学習期間がなければ、日本のポップス界は相当、出遅れたに違いない。洋楽では常識となっていたカヴァーという方法論こそが、日本のポップス界の土壌を作ったという事実について、カヴァーに否定的な論者はどのように考えているのか 訊いてみたいものである。
※ その訳詞はノリ重視であり、正確に意味を伝えるという本来の目的から大きく逸脱したものが多い。例えば、岩谷時子が ’52 年に訳詞した 「 愛の讃歌 」 。美輪明宏のリサイタルに行くと、この曲が最後に歌われることが多いが、岩谷の訳詞に対する美輪さんの MC はかなり辛辣である。実は、当時放送されていたアメリカのテレビドラマやカトゥーンなども日本的なテイストが加味され、オリジナルとは似ても似つかぬものになっているものが多かった。いわし亭が大好きだったアニメ 『 幽霊城のドボチョン一家 』 など、牧伸二、由利徹、南利明、等々がアドリブで自分のネタをふんだんに持込み、東北弁の狼男 ( 日本版での設定は “ 人喰いライオン ” )、名古屋弁のドラキュラ伯爵など、ブッ飛んだキャラを創造していたものだ。
さて、この “ 歌は誰のものなのか? ” という質問に図らずも同業者が回答する形となったツイートがいくつかあるので、紹介する。我が最愛の大森靖子のツイートが、実に頼もしい。
そういえば、マリアンヌ東雲は愛聴盤として近田春夫 & ハルヲフォンの 『 電撃的東京 』を挙げている。つまりはキノコホテルの 『 マリアンヌの休日 』 と 『 マリアンヌの逆襲 』 は正にマリアンヌ流の 『 電撃的東京 』 だったのだ。
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大森靖子 ( おおもりせいこ ) @oomoriseiko 6月17日 14:35
“ 曲なんて自分からうまれて、自分の中からはみ出てしまった時点で実際自分のものって感じあまりしない。歌うたび新鮮で、なんだこの曲すげー! って感動したり、この時何考えてこんな曲つくったんだ? 意味わからんとかも思う。私に関係なく勝手に育ってくれるのが愉しい。子離れできないのは好きじゃない ”
→シンガーソングライター
ケラリーノ・サンドロヴィッチ @kerasand 6月12日 12:19
もし原曲にリスペクトのないカヴァーが全く許されなかったら、70 年代後半のニュー・ウエーヴはあれほどに面白くならなかったろうとは思う。
→ミュージシャン、劇作家、俳優、脚本家、演出家、映画監督。『 ナゴムレコード 』 主宰。劇団 『 ナイロン100℃ 』 主宰
及川眠子 @oikawaneko 6月12日 4:42~
@kentarotakahash @WORLDJAPAN 詞や曲をいじることなくカヴァーする場合、著作者に許諾を得ることもなく、サンプル盤も滅多に送られてません。CM やパチンコ等に使われたり、外国語訳されるときはきちんと許諾を求めてきますが。今や業界のルールなんてあってないもの。
歌ってもよろし、と許諾を出せるのは基本的に作詞家と作曲家だけ。だって著作権者だからね。だけど歌自体は歌手のもの。と同時に世の中のもの。いい歌ならいろんな人が歌っていいじゃん、と思うんだけどねぇ私なら。
→作詞家 「 残酷な天使のテーゼ 」 ( 高橋洋子 ’11 年 JASRAC 賞金賞 - 著作権分配額 1 位 ) 「 淋しい熱帯魚 」 ( Wink ’89 年 第 31 回 日本レコード大賞 ) 「 東京 」 ( やしきたかじん ’94 年 全日本有線放送大賞・読売テレビ最優秀賞 )
石川誠壱 @ishikawasei1 6月13日 2:28
昔はカバーしていても元歌の人に挨拶する習慣なんかなくて、なかったからこそ 「 ハルヲフォンの 『 ブルドッグ 』 を聴いてショックを受けたおりも政夫 」 なんて話が、一種の美談として流通していたんじゃないか。アレを美談めかして 『 電撃的東京 』 のライナーに書いていたのって誰だっけ。そうだ渋谷陽一だ。
→歌手、執筆家
Nobuyo Yagi 八木啓代 @nobuyoyagi 6月13日 11:33
マルシアル・アレハンドロが私のために書いた曲 「 Esta mujer 」 は、いま、メキシコで何人も別の女性歌手がカバーしてるけど、挨拶なんてされたことないし、私も不要だと思ってる。歌い手それぞれに解釈があっていい。歌ってそういうものだと思う。
→ラテン歌手、作家、エッセイスト、ジャーナリスト、音楽コーディネータ
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以下はビートたけしの 『 漫才病棟 』 ( ’93 / 5 ) の “ 文庫版へのあとがき ” の中の一節である。ややニュアンスは異なるが、著作物への態度としては参考になる。
著者の手を離れれば本はひとり歩きするものだから、読者がどう受け取ろうとこちらがとやかくいう筋ではない。それぞれの人が独自に楽しんでもらえるなら、それが著者冥利というものだと思う。 ( ’95 / 11 )
喜納昌吉の代表作 「 花 」 は、日本国内はもちろん、台湾、タイ、ベトナム、アルゼンチンをはじめ世界 60 か国以上で、多数のアーティストにカヴァーされている。しかも、驚くべきことに、それぞれの国のリスナーは、自分の国の古い民謡か何かだと思っているらしい。喜納昌吉自身、著作権という考え方には馴染まない国でのヒットが多く、印税収入は少ない としている。何とも感動的なコメントで、さすがはウチナーンチュ、なんくるないさ~ という所なのだろう。
閑話休題 いわし亭の大好きなカヴァー曲
バウハウスが T.レックスをカヴァーした 「 テレグラム・サム 」。このカヴァーは物凄い。原形をとどめないほど破壊しつくしていながら、それでも楽曲のテイストは残っていて、異常なカッコよさなのなのだから、お見事! と言うほかない。まさに、オルタナティヴ ( もう一つの選択 ) と言う感じがする。もし、マーク・ボランが生きていて、これを聴いたら、手を叩いて喜んだことだろう。
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妻とこの件について話していた時です。ほとんど忘れられたようになっている過去の大物が、新しい才能の出現を目の当たりにして、自分の居場所がどんどんなくなっていくことへの哀しさから、感情的な意見をたくさん言ったとしても、それは許してあげるべきではないか というようなことを言っていて、なるほどなぁ と感じました。女性と老いというテーマには、いろいろとデリケートな問題が絡みます。
カルメン・マキさんは、マリアンヌ支配人の “ しかし歌い手の方が何やら今更騒いでらっしゃる模様なので、もう二度と演らないと決めました。面倒臭いから ” というツイートを見て、さらに感情的になってしまったようです。感情論に対して、いかに論理的な説明を行っても、それは無力です。
“ その御本人のコメントの最後に 「 面倒くさいのでもうあの曲はやらない 」 とあるのでも解るように、つまり、仮に相手が私ではなかったとしても、先人に対するリスペクトや楽曲の良さ、は重要ではなかったのだと解釈されます。彼女の 45 年後が観たいです。頑張って下さい ”
ここで、45 年後と書かれているところに、妻の指摘がかなりのレベルで、的を得ているのだなぁ と納得しました。ただし、妻もカルメン・マキさんもマリアンヌ支配人のお年をかなりお若く見積もっていますね。
いずれにしても、カヴァーに関して、カルメン・マキさんの仰るようなしきたりが未だ厳然と存在するのであれば、モノ真似やパロディといった文化はいっさい育たないでしょう。実際、これらの文化に対する意識は欧米に比べると、驚くほど低いように思います。
“ チキンラーメン ” “ ウインドウズ ” “ 初音ミク ” が、なぜこれほどまでに世界的に、爆発的に普及したのでしょう? それは、安藤百福さん ( 日清食品株式会社創業者 )、ビル・ゲイツさん ( マイクロソフト社の共同創業者兼元会長兼顧問 )、伊藤博之さん ( クリプトン・フューチャー・メディア代表 ) らオリジネイター達に、例えリスペクトの感じられない、取るに足らない下らないコピーまがいのものでも、排除しない大らかなキャパシティがあったからです。
その意味で、いわし亭は基本的には、カルメン・マキさんの意見には賛成できません。
’64 年、日清食品は登録していた即席ラーメンの製法特許権を公開・譲渡します。その際に安藤百福さんが語った言葉を紹介します。“ 日清食品が特許を独占して野中の一本杉として栄えるより、大きな森となって発展した方がいい ”
しかしながら、以下カルメン・マキさんが主張されていることは至極、ごもっともで驚くほど心に入ってくるのです。これは 6 月 12 日の 15 時から 18 時にかけて綴られたもので、このツイートに対する反論はなかなか難しいのではないかと思います。前出の七尾旅人さんのツイートはこの内容に見事に寄り添っています。
実はいわし亭は、物事を大きく変えていくのは、感情論でしかない と思っています。当時者意識の皆無な、冷静で客観的な意見に、人の心を動かす力はありません。カルメン・マキさんがツイッターで獅子奮迅、孤軍奮闘 ( マキさん擁護派でありながら、読むに堪えない表現を使った方が沢山、いらっしゃいます。あえて孤軍という言葉を使います ) の状態でされた膨大なツイートは、一部を除けば、決して揶揄されたような老害などではなく、彼女の歌声同様、とても感動的なものでした。
今回は最初のボタンの掛け違いが結局、修復不可能な事態にまで発展してしまったわけですが、カルメン・マキさんにもマリアンヌ支配人にも譲れない部分は確かにある。その意味で、どちらもプロらしい態度に徹していて、何れが正しくて何れが間違っているとは、言い難く感じました。
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カルメン・マキ @carmen__maki 6月12日 15:48~18:20
まず第一に、私は 「 ノイジーベイビー 」 がカバーされたことに異議を唱える Tweet をしたことは一度もありません。第二に、あの曲の著作者がクニ河内氏であることも勿論承知しています。どころかあの曲以外にも氏とは仕事をしているし当曲自体、氏と会社との相談の末に出来た楽曲だからです。
蛇足 ) 当時、私はロックに傾倒し、それまでの歌謡曲路線が嫌で、ハプニングスフォーのファンでもあった故、CBS / SONY の担当ディレクターと相談、クニさんの協力を得て出来た、私にとっては思い出深い、後のロックへのステップを踏むべく重要な楽曲でした。
したがって私は、ただあの曲を歌っただけの歌手であります。著作者ではありません。と同時に同曲を歌ったオリジナル歌手でもあるわけです。
蛇足ながら、今回のように他者がカバーする場合、著作者には印税が発生するが歌手には印税などは発生しません。では、私は何に対して異議を唱えたのか…
シンプルな話です。カバーする側の人間の非礼に対してです。著作者の了解を得れば、オリジナル歌手など無視に等しきその言動です。口や態度には現れずとも、その見下し上から目線は様々な形や空気で伝わって来るものです。
そう言うこと自体が 「 老害 」 だそうです。では私個人、或いは私の知りえる音楽家仲間達はどうでしょう。何度も書くのが面倒なんですがもう一度書きます。
私の過去の作品は多くのアーティストにカバーされていますが今回のように私が 「 歌唱しただけ 」 の作品についても必ず事前にお話がありました。ライブ当日に初めて会って事後承諾ではなく。きっかけがそうであれば後日改めて連絡があってもいいはずです。
また、これも先にツイートしましたが人によっては他人にカバーされるのを良しとしないアーティストもいます。自分の歌った歌が広く人々に知れ渡り売れる事を望むのではなく 「 自分にしか歌えない 」 、それだけ強い愛着を持っていても私には不思議ではない、むしろ尊敬します。
親しい音楽家同士でさえカバーする時は了解を得るのが普通です ( かく言う私も若かりし頃には失敗もあったかも。もし無礼があったらこの場を借りてお詫びします。連絡してください ^-^ ) 。
自分に話を置き換えれば確かに若かりし頃には他人の歌でも何も考えず歌ってきた過去があったかもしれません ( 多分ないと思いますが ) しかしこの歳になり私がカバーされる立場になった時、音楽家にとって、一曲一曲が正に自分が産んだ子供のように愛おしく大事であること。だからこそ安心して他人に委ね、ひょっとしたら自分よりも上手に育んでもらえるかもしれないという思いに至ったのです。私の前にも数えきれない先人達がいます。彼等の残した足跡と彼等が育んできた音楽の歴史も又、正しく伝えられ継承されなければいけません。
こうした意識が音楽家にもそれに関わる人達にもあるのか、今回の当事者や無責任な発言を見るにつけ甚だ疑問です。カバーをするしない、それに纏わる手続きなどはシンプルな事務処理の問題であって先にも再三書いているように初動の失敗 ( 意思疎通の失敗 ) であるわけで大した事じゃない。しかし、その後の対応や世相に面白いように今のこの国の音楽に対する反応が現れている。相手が私だったからなのか、それとも私だけではないのか知らないけれど、音楽や音楽家に対する貧しい感性、知ったかぶり、差別、偏見。
上下関係とか、しきたりとか、馬鹿な事言わないでね...。音楽をやるのは人間です。人間には心があり感情があり、人と人の間には人としての礼儀やルールというものがあって社会は成り立っているのです。礼儀やルールというのは相手への誠意であり尊重ともいえる。
こうして言葉で書くと固くて説教がましいと感じる人もあるかもしれないが、これは私達が普通、日常生活の中で無意識にやっていることです… と思っていたのですがどうやら最近の日本では通じなくなっているようで。これをして老害といわれるらしい。残念な国になりました @carmen__maki
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※ ツイートに関しては、原文を尊重し、表記の統一などは行わなかった。ただ、一点、カルメン・マキの楽曲である 「 きのう酒場で見た女 」 については、これが前後の文脈から曲のタイトルかどうか分かりづらかったため、 「 」 を加えた。また、読みやすくするために改行を入れた箇所、いくつかに分かれているツイートを一つにまとめた箇所もある
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こんばんは。遅まきながら拝読いたしました! 素晴らしい記事ですね。私が漠然と感じながらも能力が及ばず言葉にできなかったことが、非常にクリアに記されていて、例の騒動の一部始終についてはこちらをご覧ください、と当方のブログに掲示したいくらいです。この騒動に関わった人全員に読んでほしい!
返信削除ありがとうございます。いわし亭にとっては、ルスルさんのお墨付きをもらえるのが、一番のご褒美ですよ。今回の騒動、自分なりに整理してみて、最終的にライフワークにしている封印と表現の自由に関わるテーマが浮き上がって来たのは思わぬ収穫でした。
削除今週末はケメのトーキョーキラー、9月と10月はキノコホテルの二連戦とまだまだお楽しみが続きます。マリアンヌ支配人には、まだまだ日本のミュージックシーンをかき回してもらわないと!